別離の歌
- 唐の都に月を見て
祖国
の山河しのび泣く
かの
麿人
のそれに似て
ふるさと慕ふ日もありき。
-
歴史
にあくがれ古跡なる
やまに遊びし日もありき
又はさすらいの人となり
石を
抱
きし日もありき。
- 春知るころの苦しさに
浜辺に出でて
櫓
をとれば
身を浮き舟の浮き沈み
あくがれ渡る日もありき。
- 玄海寮の想い出は
あげつらふべき
術
もなし
星なき夜の
漁火
も
などその数に及ぶべき。
- 君と吾との草枕
たどりし道の遙けくも
夢あらばとてたどりしを
涙にぬるる旅衣。
- 君恋ふるとて
術
もなく
三年
の春はうつろいぬ
嗚呼肩くみて歌はなむ
何時の日逢はむ君と吾
涙さしぐみ歌はなむ。