工学部工学科船舶工学コース

日本でただ一つの
造船学を
学べるコース

新プログラム
「海洋工学プログラム」
が本格始動!

四方を海に囲まれ、世界で第6位の排他的経済水域面積を有する我が国の発展は、海洋の有効利用を抜きにしては考えられません。現在、日本は、その貿易量の99.7%がすでに船舶に依存していますが、加えて過密になった陸上輸送の海上輸送へのモーダル・シフトがCO₂対策の観点からも期待されています。さらに、風力発電や潮流発電など「海洋再生可能エネルギー資源」、「海中および海底の鉱物資源」、そして無限に広がる「海洋の空間資源」、海洋県長崎の多様な「水産資源」に代表される4つの海洋資源の開発も強く求められています。そこで、船舶工学コースでは、船舶ならびに海洋工学の基礎知識を有し、船舶・海洋構造物を設計・建造する技術者および海洋を仕事場とする技術者を育成することを教育理念とし、実務に強い技術者の育成を行います。そのために、船舶と海洋工学の基礎技術を学ぶ共通カリキュラムをベースに、造船と海洋開発それぞれに関するより深い技術を学ぶ「船舶工学プログラム」と「海洋工学プログラム」の2つのプログラムを用意しています。

未来を創造する。
専攻コースを越えた
教育プログラム

海洋工学プログラム

海洋工学プログラム

四方を海に囲まれた我が国の発展は、海洋の有効利用を抜きにしては考えられません。海洋の持つ4つの資源、「海洋再生可能エネルギー資源」、「海中および海底の鉱物資源」、「海洋の空間資源」、「水産資源」を開発するために必要となる幅広い知識を修得した、海洋を仕事場とする実務に強い技術者を育成します。

日本でただ一つの
船舶工学コース

船舶海洋試験水槽実験室
船舶海洋試験水槽実験室

船舶海洋試験水槽
船舶海洋試験水槽

貿易量の99.7%を船舶に依存する日本。そのような背景もあって、わが国の造船産業は世界の最先端を走っています。本コースは日本ただ一つの船舶工学コースとして、70年を超える伝統を誇り、そのため各造船所や舶用メーカー、海運会社などとの昔からのつながりも深く、100%の就職率にもつながっています。造船は総合工学です。その技術の裾野は広く、さまざまな技術をまとめ上げていくことで成り立っています。ですから、当コースでは、海に親しむためのカヤックの実習に始まって、造船造機分野、海洋土木・海洋開発分野、海運行政・検査分野といった領域まで、基礎から応用へと学習を進めていきます。特に、理論のための理論に終わることなく、実務に強い技術者の育成を目指していることも特色といえます。施設としては、九州でも唯一の「雲の上水槽」の愛称で呼ばれる船舶海洋試験水槽などを備えています。

海洋開発や海中ロボット
も学べます

風力発電
出典:教員も講師として参画する
長崎海洋アカデミー

水中ロボット
水中ロボット

我が国は四方を海に囲まれ、国土面積は世界第61位にもかかわらず、国土の10倍以上に及ぶ広大な周辺海域を管轄することとなっており、その排他的経済水域の面積は世界で第 6 位と言われています。この広大な海における洋上風力発電や波力・潮力発電などの海洋再生可能エネルギーの開発・利用は、地球温暖化対策という観点から大きなポテンシャルを秘めていると期待されています。本コースでは、それらを学ぶ,海洋開発工学Ⅰ,Ⅱの講義も開講しています。 これら洋上や海中に設置されるこれらの発電設備を安定して稼働させるためには、海での探査や工事が必須となります。そこで、本学では、強潮流下においても海中観測や作業を安定して行うことができる海中ロボット(下の写真)の研究開発を行っています。海洋エネルギー機器の総経費の30%から40%を占める設置経費や保守点検や海洋環境の観測調査費を大幅に軽減し,これらの機器の社会的受容性を向上させることを目指しています。

造船業界の未来を支える
シュミレーターを
独自開発

塗装シミュレーター
塗装シミュレーター

水の抵抗を減らす、また海藻やフジツボなどの海洋生物が船底に付着するのを防ぎ燃費を良くする、サビや腐食を食い止める、など船舶の塗装は船の品質や安全性に直結する重要な作業のひとつです。「船の性能を最大限に発揮できるベストな厚さがある」と、本学の卒業生で自らも造船マンとして活躍した松岡和彦教授は言います。その技能伝承を目的に開発されたのが「塗装シミュレーター」。 大型画面に向けスプレーガンを操作すると、うまく塗れた部分は緑に、厚すぎると赤へと色が変化。長崎県内の造船所で働くベテラン技術者の協力の下、実際に腕を動かすスピードや角度などを徹底的に調査し、県内若手技術者の研修に利用されています。その技術を応用し、松岡教授が開発した「溶接シミュレーター」ではバチバチと音が鳴り、実践さながらの迫力と緊張感が体験できます。「造船の町・長崎を支えるものづくりに直結した研究開発と産業支援は本学ならでは」と自信の表情を見せます。

船舶工学コース紹介

専任教員

指導した近年の
卒業研究テーマ例など

  • 「人工知能(AI)の船舶工学への応用に関する研究」
  • 「環境に優しく省エネ性に優れた次世代船舶に関する研究」
  • 「機関室機器モジュール化による設計知識化の研究」
  • 「遺伝発生による人工知能(AI)の生成と船体構造設計支援システムの開発」

4年間の学び
ものづくりのプロを
育てます!

1年次  

1年次
工学フォーラム

一年次の船舶工学プログラムと海洋工学プログラムの専門カリキュラムは同じで、入門的内容を学びます。「プロジェクト」は1年次から始まり全学年にわたる授業で、学生自らがテーマを見つけ、調査研究や製作などを行うものです。一人で取り組んでも数人でチームを組んでも可。チームを組む場合は、他学年との組み合わせになる場合もあります。また造船所見学などの体験が組み込まれた授業もあります。

2年次  

船舶・海洋工学分野の専門科目を学ぶ上で基礎となる材料力学、流体力学、浮体静力学、船体復原論を中心に学習し、講義で学んだ理論は、「船舶海洋工学基礎実験」で実施する実験の中で確かめます。「雲の上水槽」の愛称で呼ばれる船舶海洋試験水槽での実験も含まれます。2年次以降は、選択したプログラムによって一部の必修科目が異なり、船舶工学プログラムは造船設計Ⅰ、Ⅱ、海洋工学プログラムは海洋工学、海洋資源学が必修科目となります。

操舵学同演習
操舵学同演習

3年次  

船舶CAD
船舶CAD

本格的な専門科目がスタートします。両プログラム共通の構造力学、船体運動論などに加え、船舶工学プログラムでは抵抗・推進、船体強度論、海洋工学プログラムでは海洋空間利用学、海洋エネルギー学などを学び、専門的な知識を深めます。「船舶CAD」では、造船所で用いられている最新3D-CADによる設計が学べます。「工場実習」では、望ましい勤労観・職業観を醸成します。

4年次  

これまでの学びを活かして、卒業研究に取り組みます。これはグループを組んで一つのテーマを選び、指導教員のもとに、メンバーが協力研究して論文にまとめるものです。

授業風景

カリキュラム表

カリキュラム表

マッチングポイント

船や海に関わる仕事がしたい
造船会社で働きたい
船舶設計技師になりたい
海洋開発の仕事がしたい
海運関係の仕事がしたい

資格と支援
次の資格取得が
目指せます!

  • 一級・二級小型船舶操縦士
  • 船舶主任技術者
  • 潜水士
  • 技術士
  • 安全管理者
  • エネルギー管理士
  • 第一級陸上特殊無線技士
  • 第二級海上特殊無線技士
  • 高等学校教諭一種免許状(工業)

資格取得のための支援など
小型船舶操縦士免許に関しては、授業の中で講義及び演習を行いますので、多くの学生が取得しています。潜水士資格免許に関しても、希望者は授業の中で支援を行っています。特殊無線技士資格に関しては、本人の希望に応じて電気電子工学コースの授業を受けることで資格申請可能です。

主な就職先

  • (株)名村造船所
  • 内海造船(株)
  • 福岡造船(株)
  • ジャパン マリンユナイテッド(株)
  • 常石造船(株)
  • 尾道造船(株)
  • 今治造船(株)
  • (株)大島造船所
  • 四国ドック(株)
  • (株)新来島サノヤス造船
  • 佐世保重工業(株)
  • (株)神田造船所
  • (株)渡邉造船所
  • 前畑造船(株)
  • 新潟造船(株)
  • 函館どつく(株)
  • 向島ドック(株)
  • (株)三和ドック
  • MHIマリン エンジニアリング(株)
  • 長崎船舶装備(株)
  • BEMAC(株)
  • (株)マキタ
  • 五洋建設(株)
  • 深田サルベージ建設(株)
  • (株)吉田組
  • 鶴丸海運(株)
  • (株)スガテック
  • 不動技研工業(株)
  • 国交省 船舶検査官
  • 日本海事協会
  • 日本小型船舶検査機構
  • 高校教諭

インタビュー
在学生

阿部 航大 4年/
国立館山海上技術学校出身

深谷 智 4年/
島根県立浜田水産高等学校出身

造船学校開校時代からの歴史と伝統を、今に受け継ぐ船舶工学コース。全国でも船舶や海洋技術を専門的に学べる大学は稀有なため、その環境に魅了されて他県から入学してきた学生も少なくない。
千葉県の海上技術学校で船員の技術を学んできた阿部君は、進学のきっかけを「乗船するなかで船の構造や設計に興味を持ち、基礎から学びたいと思い志望しました」と話す。方や、島根県の水産高校で学んだ深谷君は、「航海科でしたが、変化する海面を安定的に進む船の動きに感動を覚え、造船分野を学びたくなった」と理由を口にする。
船舶工学の学びも着々と進んでいる。たとえば、船がどういう条件で安定しているかを数式で表す「浮体静力学」や「船体復原論」を学んだほか、「実際に船の設計図を描いたり、船首形状の違いによる抵抗試験などの実験を行ったりしています」と、阿部君は学びの内容に満足そう。深谷君は、水や空気の流れを調べる「流体力学」、あるいは「材料力学」を印象的な授業に挙げ、「グループで木製カヌーを製作し構造知識などを身に付けるプロジェクトⅡはやりがいがあった」と話す。こちらも充実度は高そうだ。
宇宙に関わる専門家や建設業に携わる人材も輩出している船舶コースだが、二人はまっすぐ船舶分野へ目を向ける。「在学中に海技士3級免許の科目試験合格を果たし、将来は、造船の技術者や商船の船員を目指します」と阿部君。「造船の設計分野かドックの検査員として働くのもいいかな」と深谷君は未来に思いを馳せる。高い就職率を誇る船舶コースにあって、船舶に関わる高度で広範な知識を吸収している二人。必ずや思いは形になることだろう。

インタビュー
卒業生

板井 竜駒 2020年3月卒業/
星槎国際高等学校(東京都)出身
国土交通省九州運輸局 海上安全環境部 船舶検査官

造船業界へ多数の技術者を輩出している船舶工学コースだが、活躍のフィールドは造船会社以外にも広がっている。「船舶検査官」の肩書を持つ板井さんは、国土交通省運輸局の職員。文字通り、船舶を検査するスペシャリストだ。業種選択の理由は多数あるが、「船舶の海上運航の安全を確保する仕事は、島国の日本にとって重要であり魅力がある」と強調する。現在は主として、運航開始後の船舶の定期的な検査や新造船の検査を担当。定期的検査では、船体の外板の外観検査やハンマーを使った打音検査をはじめ、船体のタンクの内検(タンク内部で状態を確認)、さらには内燃機関の解放検査(エンジンを解放してクラックや腐食をチェック)などを行っている。また新造船については、設計検査などを行う。
業務で活用しているのは、在学中に覚えた船舶各部の名称の知識、材料力学や流体力学などの基礎的知識。検査時に、造船所の方と専門用語で会話を交わす際や、一般配置図等の図面を見たりするときに役立っているようだ。「先日、改造時の強度計算も確認しましたが、材料力学や構造力学をしっかり学んでいて良かった」とは実感のこもった言葉。また、「検査が結了したときは達成感がありますし、検査した船舶が何事もなく無事に運航していることに充実感を覚えます」とやりがいも伝わってくる。
ただし、知識不足も感じているようで、「内燃機関や航海用具、特に法律(船舶安全法等)については勉強が必要」と力を込める。将来的には、外国船舶監督官などの船舶検査官以外の業務にも携わりたいと考えている板井さん。今日も船舶検査官の誇りを胸に、幼い頃から憧れていた船舶の仕事に力を尽くす。

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