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企業とつくる大学教育カリキュラム◇第1回グリーン船舶システム産業分野教育協議会 開催(7月31日)

「第1回グリーン船舶システム産業分野教育協議会」を開催しました!!

令和8年(2026年)7月31日(金)、長崎市内のホテルニュー長崎にて、「長崎総合科学大学グリーン船舶システム産業分野教育協議会」の発足式を兼ねた第1回協議会を開催しました。

本協議会は、本学が令和9年(2027年)4月に開設する新学部「先端工学部」グリーン船舶システム学科(入学定員50名)の教育・研究プログラムを、産学連携により構築していくことを目的として設立されたものです。
今治造船株式会社、株式会社名村造船所、株式会社大島造船所をはじめとする県内外の造船・海事関連企業・団体42機関を会員として発足しました。
当日は、国土交通省海事局次長 河野 順氏、同海事局船舶産業課長 吉田 正則氏、九州経済産業局地域経済部次長  西下 尚樹氏、長崎県知事 平田 研氏、長崎県副知事 宮地 智弘氏、長崎市長 鈴木 史朗氏、長崎県工業会連合会会長 西 亮氏、本学連携高等学校の校長先生方のほか、オンラインでエヌビディア合同会社エンタープライズマーケティング本部長 堀内 朗氏にもご列席いただき、会員企業・団体の経営者・役員クラスの皆氏、本学関係者、本学が連携している各高等学校の先生方等総勢約100名の参加者ともに、産学官を挙げての新たな連携がスタートしました。会場は終始活気にあふれ、随所で参加者同士の熱心な意見交換も交わされておりました。

ご来賓・関係者からのメッセージ

国土交通省海事局次長 河野 順 氏

国土交通省海事局次長 河野 順氏からは、四方を海に囲まれた我が国にとって海上輸送は不可欠であり、安全保障や地域経済を支える重要な役割を担っているとのお話があり、2035年に向けて建造量1,800万総トン以上への増加を目指す国の方針を踏まえ、次世代船舶や船舶修繕、LNG運搬船等に関する官民投資ロードマップの策定を進めていることが紹介されました。そのうえで、本協議会が産学官連携のもと将来の造船・海事産業を担う人材を育成する場となることへの期待が述べられました。


九州経済産業局地域経済部次長 西下 尚樹 氏

九州経済産業局地域経済部次長 西下 尚樹氏からは、理系人材を中心とした需給ミスマッチが今後の課題となる中、産業界と教育界の連携が不可欠であるとの認識が示されました。経済産業省ではNEDOによるグリーンイノベーション基金等を通じて次世代船舶の開発を後押ししており、本協議会が目指す戦略的な人材育成の方向性と軌を一にするものであるとのお言葉をいただきました。


長崎県知事 平田 研 氏

長崎県知事 平田 研氏からは、造船とともに発展してきた長崎県には高度な技術を有する企業が集積しており、先端工学部の設置に大いに期待しているとのお話がありました。県としても造船振興戦略会議を立ち上げ、産学官一体で人材不足の早期解決に取り組んでいく考えが示されました。 


エヌビディア合同会社
エンタープライズマーケティング本部長 堀内 朗 氏

エヌビディア合同会社 エンタープライズマーケティング本部長 堀内 朗氏からは、AIエージェントやフィジカルAI、デジタルツインなどの先端技術が、今後の造船・海事産業を大きく変革していくとのお話がありました。航路の最適化やエネルギー制御、船舶設計・シミュレーションなどへのAI活用に加え、長崎総合科学大学との連携を通じて、最先端のAI環境の提供や実践的なカリキュラムの共同設計、更に共同研究を進め、グリーン船舶分野を担う人材の育成と日本の海洋産業の発展に貢献していく考えが示されました。
(オンラインにてご参加いただきました)


長崎市長 鈴木 史朗 氏

長崎市長 鈴木 史朗氏からは、産学官が一体となって造船振興に取り組むことは大変意義深いことであるので市としても前向きに関わってまいりたいとのお言葉をいただきました。


長崎県副知事 宮地 智弘 氏

長崎県副知事 宮地 智弘氏からは、県としても産学官連携によりしっかりと造船振興を進めていきたいとの考えが示されました。


長崎県工業会連合会会長 西 亮 氏

長崎県工業会連合会会長 西 亮氏からは、フィジカルAIの活用は地元中小企業にとっても大きな課題であり、今後の本学の取り組みに期待しているとのお言葉をいただきました。


長崎工業高等学校 校長 高田 佳男 氏

本学連携高等学校である長崎工業高等学校 高田校長先生からは、工業高校は長崎総合科学大学との関係が深く、このような企業と連携した先進的なカリキュラムがあれば安心して学生を送り出せるとのお話がありました。

基調講演

「我が国造船業の現況と政策について」
国土交通省 海事局 船舶産業課長 吉田 正則 氏

吉田氏からは、我が国造船業の現状・課題や、2035年に向けた造船業再生ロードマップ、次世代船舶・船舶修繕・LNG運搬船に関する官民投資の方向性、造船人材の育成に関する国の施策等についてご説明いただきました。

理事長挨拶

冒頭、本学理事長兼学長 黒川 不二雄教授より、ご列席の皆様への謝辞とともに、次のような挨拶がありました。
造船業は労働集約型の産業であり、先進国化に伴う人件費上昇の中で国内では縮小が進み、その影響を最も大きく受けた地域の一つが長崎であること、そうした状況の中で本学がGX・DXを主軸とした教育・研究に取り組んできたことに触れました。そのうえで、国の安全保障という新たな評価軸も加わり造船業再興の機運が高まる一方、長崎をはじめとする地域では人口減少が進み、人材の確保が大きな課題であると指摘しました。
その解決策として、コンピュータ内に実世界を再現し、AIロボットを高速に学習させることで実用的なロボットを安価かつ大量に生み出す「デジタルツイン」と、それを支える「フィジカルAI」の重要性を強調。エヌビディア合同会社との連携も踏まえながらフィジカルAIの活用を進め、GX・DXを掛け合わせた新しい船舶を作り出せる技術・人材育成の必要性を述べたうえで、「ひとつ先の風景へ」という本学の理念のもと、本協議会を通じて産学官が一致団結し、次世代の船舶産業を支える人材育成と新たな価値創造に挑戦していく決意を示しました。
 

議事の概要

  • 日時:令和8年7月31日(金)15:00~16:55
  • 場所:ホテルニュー長崎(鳳凰の間、東の間)

協議会では、以下の議題について協議・報告が行われました。
  1. 協議会設立の趣旨
  2. 先端工学部について
  3. 長崎総合科学大学の研究開発の取り組みと人材育成
  4. グリーン船舶システム学科アンケートについて
  5. 高専について(長崎高等専門学校(仮称)設置構想)
このうち「先端工学部について」では、令和9年4月に開設が決定した先端工学部(グリーン・デジタル学科/グリーン船舶システム学科)の教育プログラムや、政府が掲げる17の成長分野を踏まえた本学の教育研究の方向性、フィジカルAIを活用した造船分野への取り組みなどを説明し、共同研究講座の設置・活用や冠講座への講師派遣について、参加企業・団体へ協力を呼びかけました。また、本協議会には連携する高等学校の先生方にもアドバイザーとしてご参加いただきました。

議事に関しては、参加者から以下のような質問が寄せられました。

【先端工学部について】

  • ABS横浜 機関技術長 渋谷 高広氏より、AI活用における技術者倫理の重要性として、組織内でのAI活用において、機密情報の取り扱いなど基本的なリスク管理の教育が必要であることが述べられ、デジタルAI技術の進歩に伴う新たな人権問題が生じる可能性が指摘されました。そのうえで、新設の先端工学部において、そうした課題に対応できる人材をどのように育成するのか、ビジョンが問われました。
    これに対し黒川理事長は、AIの学習メカニズムを説明し、「何を学習させるか」が倫理的問題の核心であると述べました。工業用途では、造船所の溶接・研磨など特定の作業のみを学習させることで、AIの動作範囲を限定できると説明し、教育面では、従来のレポート作成等の一般的なAI活用から、実際のプログラムや機械へのAI適用・最適解の導出という理系的・論理的な教育へ移行し、研究者倫理・産業倫理に反しない範囲での使い方を主に教えると回答しました。
  • 長崎県工業会連合会会長 西 亮氏より、連合会傘下企業の求人充足率が約50数パーセントにとどまり人手不足が深刻であることを示し、中国の電気自動車工場における完全自動化の事例を挙げ、工場内24時間稼働のフィジカルAI実現に向けた時間的マイルストーンが質問されました。
    黒川理事長は、エヌビディア提供のソフトウェアを在学中から学生が活用できる環境を整備し、3・4年生(高専では4・5年生)段階でフィジカルAIを扱える即戦力人材を育成する方針を説明しました。安川電機等の既存ロボットへのAIチップ搭載・センサー活用により現行設備でも対応可能と述べ、さらに、私立高等専門学校(5年制高等専門学校)の設立構想を紹介し、開設目標10年後・初期定員40名(最大150名まで拡大予定)・九州に全国5校目の私立高専として設立する計画を明らかにしました。

【高専設置構想について】

  • 流体テクノ株式会社 取締役 杢尾 憲治氏より、船舶工学とAIを同時に学ぶカリキュラムの高度化に伴い、入学者に求める学力水準について質問されました。国立大学では学力要件が高く入学が難しい現状を踏まえ、本学がどの程度の学力レベルの学生を受け入れるのかが問われました。
    黒川理事長は、現在の大学入試が「年内入試」(学校推薦・総合選抜・面接等)と「年明け入試」(一般入試・共通テスト等)に大別されること、本学では年明け入試の割合が圧倒的に多く、総合型選抜では熱意を自分の言葉で伝えられる人を求めている旨を回答しました。
  • 三菱造船 環境技術部長 寺田 伸氏より、人材獲得においては新卒だけでなく他業界からの転職・キャリア採用にも注力しており、リスキリングが大きなテーマとなっているが、社会人や若手技術者への大学教育の考えはあるかとの質問がありました。
    黒川理事長は、JSTの INSIGHT事業への申請を進めており、若い方が国と本学の費用負担のもとで共同研究に参加できる仕組みや、働きながら学べる社会人向けの修士課程や博士課程をほぼ無料で学べる環境を用意している旨を回答しました。 

議題説明スライド(抜粋)


理事長挨拶及び先端工学部の説明で使用したスライドのうち、フィジカルAI、GX(グリーン)、DXに関する説明部分を中心に抜粋を掲載します。

今後に向けて

本協議会の発足により、長崎の地から我が国の造船・海事産業の未来を支える新しい産学官連携の形がスタートしました。本学は、令和9年4月開設のグリーン船舶システム学科において、本協議会の会員企業・団体との共同研究や寄附講座等を通じて、AI・デジタルツインなどの先端技術を活用した次世代のグリーン船舶づくりを担う人材の育成に取り組んでまいります。
なお、本協議会の発足式の模様は、共同通信を通じて全国各メディア、日本経済新聞長崎新聞NIB長崎国際テレビ等、多くのメディアで報道されました。

参加企業